最新の生成AI「むぎ」 -日記2026/08/30

他人ではあるんだけど赤の他人ではないというか、知り合いとして挙げるには微妙なラインだけど知っている。ご近所さんというのはそんな何とも言えない関係性です。たまには人に迷惑をかけることもありますし、何かがあったら助け合えた方がいい。なのでご近所づきあいというのもそれなりにはしています。

今日は近所に住んでいる博士から最新のAIを作ったから見てほしいといわれたので、見に行きました。
博士は私の下の部屋に住んでいて、私が足音などで迷惑をかけてしまう側です。博士が天井をたたくことがない以上、善人バトルで負けてしまっているので従わないわけにはいきません。

部屋の呼び鈴を鳴らすとどたどたという音を鳴らしながら白衣を着た博士が出迎えてくれました。
「おお、よく来たね。さあ、入って入って」
博士はよく白衣を着ていますが、別に薬品を使った実験をしているわけではないので実はそんな恰好をする必要はないのです。
以前その理由を聞いてみたのですが、「形から入り、模倣し続けることで見えてくるものがある」とのこと。武道みたいに科学の道を究めようとしています。

キッチンを抜けた先の部屋には、その真ん中に大きな機械が鎮座しています。タワー型のコンピューター、おそらくこの中でAIが動いているのでしょう。
「ここ数年の生成AIの発展は目覚ましいだろう。それを見ていると置いて行かれるわけにはいかないな、と思ってね。それで作ってみたわけだ、いわゆるローカルLLM、名前は「むぎ」だ!」
「あんまり最新のAIに「むぎ」って名前つけないっすよ。ゴールデンレトリーバーとかにつける名前なんで」
「そうかな? でも、親しみやすくていいだろう?」
ChatGPT、Gemini、Claudeと来ての「むぎ」、博士にはこういういらんところで模倣しきらずに自分の色を出そうとするところがある。

「まあ、名前はこの際おいといて、何ができるかが問題ですよ。こいつは何ができるんですか?」
「生成AIにできることは一通りできるさ。ちょうどいい時間だし、夕飯の献立でも考えてもらおう。おいで! むぎ!」
「はい、どうしましたか?」
PCの電飾が光り合成音声が流れる。
「『おいで』で来るんなら、もう犬ですよ」
「そうかな? 実家の犬は来なかったけど。むぎ、夕食の献立を考えて!」
「そうですね、がっつりいきたいならスペアリブなんてどうでしょう? ジューシーな肉汁とソースのうまみが食欲をそそりますよ。付け合わせには肉じゃがはどうでしょうか。デザートはわらび餅で決まりですね。」
「なんか、あんまり性能高くないですね」
「まあ、手作りだからねぇ」
コンピューターをポンポンとたたきながら博士が言う。

「作るのって大変なんですか? AIって」
「まあ、それなりに。半年ぐらいはほとんどむぎに時間を使ってたかなあ」
「へぇ~~」

なんて当たり障りのない会話をしていると、急にむぎの入ったコンピューターがくるくると回転し始めた。
時計回りで回ったとと思うと反時計回りで回りだす。30秒ぐらい回ってから急に止まったと思うと、プリンターがガーガー言いながら何かを印刷し始めた。
ひらひらと舞いながら床に落ちたコピー用紙には見事な一本グソが印刷されている。

「やっぱ犬じゃないですか」
「う~ん、犬なんだよね。どういうわけか」
「これはこれで大発見なんじゃないです?」
「海賊版の『いぬの気持ち』で日本語覚えさせたからかもな~」
博士はぽりぽりと後頭部をかく。

「それで、むぎはこれからどうなるんですか?」
「そうだなあ、出先からエアコン起動させられるような機能とかつけようかな」

もうあるのにな、そういうの